日本特産のヤマユリ（山百合）は、背が高く、その甘く濃厚な匂いは遠くからでも、すぐに分かるほど存在感のある植物だ。しかし、写真に撮るには、むずかしい花でもある。花が大きく重いため支柱の無い自然の状態では、垂れ下がった茎の先に花が咲く。全景を撮ると説明的になりがちだ。今回、皇居東御苑で見つけたヤマユリを説明臭くないらないように撮ってみた。

【ポイント】　雰囲気も描写したい。
　林地に咲くため、周辺の状況を上手く取り入れたい。

【注 意 点】　手持ち撮影では、力を抜いてしっかり構える
　今回は、撮影目的ではないので一脚・三脚とも持参していない。林の中で、やや暗いが、しっかり構えて、そのまま数枚撮りたい。

【撮影場所】 皇居東御苑　東京都千代田区千代田１丁目
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【 天　候 】　 くもり

【機材設定】　COOLPIX P7700，絞り優先モード，ISO：オート（上限
　　　　　　　200）※１，WB:オート，手ぶれ補正 on，内臓フラッシュ，
　　　　　　　簡易ディフューザ，すべて手持ち撮影

【作例解説】　
＜例 288_1＞　生育状況
　二の丸庭園の林に咲くヤマユリだ。東御苑では自然のままにしているので、支柱のような人為的なものは立てないようだ。そのため大きく垂れ下がった茎の先に花や蕾が見られる。ウエストレベルから切り取った。以下、同じ。
＜撮影データ＞ 58ｍｍ相当，ｆ 2.8 ，1／60秒，ISO 80，フラッシュＭ 1/32

＜例 288_2＞　気持ち大きめに
　花を気持ち大きめに撮るために74mm相当までズームした。背景を少し暗くしたいので、-1EVの露出補正をした。その分を補うため内臓フラッシュの光量を1/32（GN 0.2程度）に設定した。
＜撮影条件＞ 74mm相当，ｆ 3.5，1／80秒，－１EV，フラッシュＭ 1/32

＜例 288_3＞　縦位置に切り取る
　さらにズームし、縦位置に切り取った。もう数輪咲いていれば、華やかになりそうだ。その場合は、右に1歩移動した方が納まりがいいだろう。
＜撮影条件＞ 92mm相当，ｆ 3.5，1／80秒，ISO 180

＜例 288_4＞　林とともに横位置
　背景の林の広がりと雰囲気を残しつつ、横位置に切り取った。オートホワイトバランスのままだが、現像時に彩度※２を少し上げている。
＜撮影条件＞ 105mm相当，ｆ 3.5，1／80秒、ISO 140，フラッシュＭ 1/32
　

※１　ISO感度は、周囲の明るさ、レンズの焦点距離やフラッシュの有無で自動的に変化する。
　　　上限は200に設定した。
※２　使用する画像編集ソフトのマニュアルの彩度の注意書きをそのまま転記する。
　　　「彩度を強くするほど、色が鮮やかになりますが、もともと鮮やかな色があった場合に
　　　色が飽和してディティールが失われることがあります。 彩度を調整する場合には、全体
　　　的な色の鮮やかさを見ながら調整するとともに、鮮やかな部分の色が飽和してディティ
　　　ールが失われないかも合わせて気を配る必要があります。」